つねにかりのままのあなたのいたはずのところ


つねにかりのままのあなたのいたはずのところには
すでに、もう誰かがいるのかもしれない
あるいはすでに、誰かが去ったあとかもしれない


だからといってそこにあなたがいなかったことにはならない
だからといってそこであなたが立ち止まったわけではない


つねにかりのままのあなたのいたはずのところで
あなたはあるときある一人のあなたであったのだけど
そんなあなたを見た友や恋人も
今はいないのかもしれない
そのすでに去った友や恋人は
あなたのかりの姿しか知らないかもしれない


だからといって彼らがあなたのことを何も知らないわけではない
だからといって彼らがあなたのことを理解しているわけではない


つねにかりのままのあなたは
いまもかりのままのあなたで
そうしたあなたのことを知っている
あなたの周りの人々のことが
どうしても忘れられずに
あなたの周りの人々たちも
どうしても忘れてくれずに
あなたのいたはずのところを
今も懐かしく思い出し
今も悲しく思い浮かべ


だからといって彼らがあなたのことを何も知らないわけではない
だからといって彼らがあなたのことを理解しているわけではない


でもだからこそ
いまのあなた自身もかりのものであることを
あなた自身が知ることで
きっとあなたを知っていた
その友や恋人たちのように
あなたを思うことができるでしょう


つねにかりのままのあなたのいたところで
あなたはいつまでもかりのまま
その友も恋人もかりのあなたの声を聴き
かりのあなたから発する匂いを嗅いで
かりのあなたを理解した


それは決して嘘ではなく
それは決して偽ではなく
それは決して二度となく
それは決してあなたではなく
だからといって嘘にはならず
だからといって偽にはならず
だからといって二度とは起こらず
だからといってあなたにはならず